【from日経 003】 政府が東京メトロ株売却

日本政府は東京メトロ(東京・台東区)が2009年にも株式上場するのに伴い、保有する株式53%を一括売却する検討に入った。経営の自由度を高め、政府資産の圧縮を加速する。売却益は1000億円超。民営化し、上場し、そして政府の関与が無くなることで、東京メトロはより収益性を重視した経営を迫られるため、累積損失の多い東京都営地下鉄との統合には慎重になりそう。
そもそも2005年秋に小さな政府を目指して、資産・債務改革方針を決定、民営化法人売却で計8兆円強の収入を得る目標を立て、現在も保有資産の処分を急いでいる。将来の日本郵政の株式放出などに先立ち、比較的大型の東京メトロ株を完全売却して目標達成に弾みをつけたい考え。

東京メトロは2004年4月に帝都高速度交通営団の民営化で誕生した株式会社。政府が53%東京都が47%保有する。2008年6月に予定されている副都心線(池袋ー渋谷)の開業後速やかに上場準備に入り、2009年度上場を目指す。引き受け先は国内外の機関投資家や個人を対象にする構え。しかし、政府は東京23区の公共交通を特定の大株主が支配するのを避けるため、買収防衛策も検討する。現在航空、通信、放送などで行われている外国人投資家の投資枠規制が適用があるかもしれない、なぜなら地下鉄は霞ヶ関など機関地域の地下を保有する会社だからだ。

一方の東京都営地下鉄は1960年、浅草線押上、浅草間で開業。東京メトロの前身である営団による地下鉄整備は東京の急速の人口増加に追いつかず、都は戦前計画止まりだった地下鉄事業への参入を決断。23区に2種類の地下鉄が並立することになった。都営は三田線新宿線大江戸線を含む4路線、109キロに広がり、一日200万人が利用する。大赤字路線と言われた大江戸線の開業以降、乗客数は順調に伸びたが、収益面では開業から46年たった2006年度に漸く31億円の経常黒字を確保。地下鉄会計の負債は8000億円を超え、約4700億円の累積損失を抱える。
言い分としては、都営線は交通の不便な地域を重点的にカバーする役割を果してきたため、これまで新線建設に伴う減価償却費や金利負担が重い。東京メトロと都営を合併させると財務体質や経営効率は悪化することは明白。とはいえ都営三田線とメトロ南北線は2000年、白金高輪ー目黒間の路線の共同利用を始めた。現在はアルファベットと数字を組み合わせた外国人向けの駅番号表示や、両地下鉄乗り換えの際の70円割引にも取り組んでいる。

個人的に地下鉄に興味があるので、東京メトロ株は是非買いたい銘柄である。